民法総則 代理の制度
今日から、代理の制度について解説していきます。代理の制度は、民法総則における最も重要な制度のひとつです。資格試験でもよく出題される分野ですので、しっかりと勉強していきましょう。
売買契約のような契約は、本来、売主と買主が、直接、会って、締結するものです。
しかし、中には、制限能力者のように契約等の法律行為を有効に締結することができない方もいらっしゃいます。また、制限能力者でなくても、多忙のために、自ら、契約締結交渉を行うことができない場合もあります。
そのような場合に、代理という制度が設けられています。
代理とは、日常生活でも利用しているとおり、本人に代わって、何らかの行為をするという生徒です。
民法においては、代理は次の3つの場合を想定して規定を設けています。
制限能力者の代理「法定代理人」
これまで、取り上げてきたように、制限能力者については、本人が自ら、契約等の法律行為を行うことができないこともある。そこで、法定代理人や後見人などが本人に代わって契約締結等の法律行為をなすことになる。民法によって、代理人を付することが規定されているため、本人が、自らの意思で、代理人を選任しているわけではない。
このような代理のことを「法定代理人」と呼ぶ。
未成年者の場合は、第一義的には、親権者。親権者がいない場合は、後見人が選任される。
また、成年被後見人には、成年後見人が選任される。
なお、制限能力者であっても、被保佐人の保佐人や被補助人の補助人は、一定の契約締結等の法律行為に対して、同意を与えるだけであるから、代理人となるわけではない。
法人の代表
民法では、自然人以外にも、法人というものに対しても、権利能力を与えている。
民法で規定しているのは、人の集合である社団法人と、財産の集まりである財団法人である。また、会社法においては、株式会社、合同会社などが定められているが、いずれの法人であっても、観念的な存在であり、そこに意思表示できるものがいるわけではない。
そこで、法人を代理して行為をするものが必要になる。
この法人の代理人のことを「代表」と表現することが多い。株式会社の代表取締役、取締役社長。社団法人、財団法人の理事長、理事などがこれに当たる。
任意代理
制限能力者でもない。法人でもない。ごく普通の人であっても、代理人を選任することがある。
例えば、本人が多忙のために、代わりの人に、売買契約締結等の法律行為を行ってもらうとか、本人は、不動産の知識に乏しいので、代わりに、宅建業者に不動産の売買契約を任せるといったような場合である。
このように、本人の意志に基づいて、代理人を選任する場合もあるが、このような代理のことを「任意代理」とよぶ。任意代理のことを私的自治の範囲の拡張としての代理と表現することもある。
代理の法律関係は
以後取り上げていくのは、任意代理についてであるが、任意代理の法律関係について簡単に紹介しておく。
甲
↓
↑
乙→←丙
甲は、乙に対して、丙から不動産を購入する代理権を付与し、乙は、その代理権に基づいて、丙の不動産についての売買契約を締結する。
甲と乙の関係
甲と乙のかんけいはまさに、代理の関係である。代理権は、委任契約等によって付与されることがある。委任契約を締結し、委任状を交付することで、甲と乙は代理関係になる。
乙は、代理権限の範囲内においてのみ、代理権を行使することができ、代理権限を逸脱した行為については、「無権代理」となり、原則として、乙の行為の結果が甲に帰属することはない。
乙と丙の関係
乙と丙の間には、売買契約が締結されることになるが、その売買契約の結果は、乙に帰属することはなく、甲と丙との間にもたらされることになる。
もしも、乙が甲から与えられた代理権を逸脱する法律行為を行った場合には、原則として、無権代理になるのであるから、乙の行為の結果が甲に帰属することはない。しかし、それでは、乙の代理権を信じた丙が不利益を蒙ることがある。
そこで、一定の場合には、丙を保護して、乙の行為の結果を甲に帰属せしめるようにする必要がある。この制度のことを「表権代理」と呼ぶ。
甲と丙の関係
原則として、売買契約の結果は、甲と丙の間にもたらされることになる。
なお、表見代理等があった場合には、丙から甲に対して、何らかの行為を要求することもあるし、損害賠償請求等の問題になることもある。
以上、今日は、代理について、簡単に紹介しました。
この記事は、ゼロニュース 民法総則 代理の制度 より提供されています。
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